蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 でも私は少し考えてから首を横に振った。


「……無理ですよ。あの人、私がなにやったってどうでもいいんだから」

「そうでもないんだよ」

「いやいや」


 いかめしく首を振り、ブランデーを空ける。


「三カ月間いろいろやりましたけど、惨敗でした」

「いろいろやったって、たとえば?」

「彼が嫌いな茄子料理攻めにしたり。洗濯物にティッシュを……これはわざとじゃなかったんですけど」


 思い返してみればくだらないことばかりだ。落ち込む私をよそに、橘部長は楽しそうに笑っている。


「白川さん、可愛いね。あいつのものじゃなかったらいいのにな」

「あいつのものに、なりたかったです……」


 そこで私は絶望感と睡魔に勝てず、カウンターに突っ伏した。


「こらこら、寝ちゃだめだよ。送るから立って。そろそろいい頃合いだ」


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