蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「ううう……」


 私は酔っ払うと眠気のあと泣き上戸になるという、最悪のパターンをたどるらしい。
 でも、好きで好きで、どうしようもなく好きでたまらない気持ちが涙になって止まらない。叶わない恋だったけれど、好きになれて幸せだった。

 明日、退職と同時に同棲を解消する。でもその前に、今夜、彼に好きだと伝えよう。拒絶されても、信じてもらえなくても、最後だけは素直になって終わろう。


「ああ、泣いちゃって……大丈夫? 家でひとりで泣かない?」

「大丈夫です。彼を待ちます」

「僕んち来る? もしあいつが帰って来なかったらショックだし」

「行きませんっ」

「わかったわかった」


 酔うと王子顔が崩れる橘部長と泣き上戸と化した私を乗せ、タクシーは夜の銀座のネオンを通り抜けていった。



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