蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「私が退職して同棲を解消することで、白川への義理は消えます。どうぞシビアに判断して、白川を切るなら切ってください。私はこれから自力で白川を建て直していくつもりです」
廊下の話し声はどんどん近づいてくる。きっと今から彼が迎える顧客だろう。いつ入って来られてもいいように、私は客を迎える姿勢で入口に立った。
「今日の夕方、業者に私の荷物を運び出してもらうことになっています。立ち会っていただく必要はありません。鍵は郵便受けに入れておきます」
「待て」
「今まで本当にありがとうございました。あなたはそうじゃなかったかもしれないけれど、私は楽しかったです。幸せでした」
開いたドアを見つめながら言う。客の声は近く、もう時間がない。
本当はもっと素っ気なく事務的に終わらせるか罵詈雑言を浴びせるはずだったのに、これで最後だと思うとただただ楽しかったことばかりが胸を去来する。
こんなこと、言うはずじゃなかったのに、もっと口汚く終えるはずだったのに──。
廊下の話し声はどんどん近づいてくる。きっと今から彼が迎える顧客だろう。いつ入って来られてもいいように、私は客を迎える姿勢で入口に立った。
「今日の夕方、業者に私の荷物を運び出してもらうことになっています。立ち会っていただく必要はありません。鍵は郵便受けに入れておきます」
「待て」
「今まで本当にありがとうございました。あなたはそうじゃなかったかもしれないけれど、私は楽しかったです。幸せでした」
開いたドアを見つめながら言う。客の声は近く、もう時間がない。
本当はもっと素っ気なく事務的に終わらせるか罵詈雑言を浴びせるはずだったのに、これで最後だと思うとただただ楽しかったことばかりが胸を去来する。
こんなこと、言うはずじゃなかったのに、もっと口汚く終えるはずだったのに──。