蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「俺はあの女に言ってない」

「じゃあなんで知ってるのよ」

「知るか。勝手に調べ上げたんだろ。顧客でなければ二度と関わる気もない」

「嘘つかないで! 仕事でもないのに夕べ一緒にいたじゃない。帰って来なかったじゃない。将来の話をするんだって、あの人が……」


 すると蓮司さんが顔をしかめ、「はあ?」と声を荒げた。


「あの女が乃梨子にそう言ったのか?」

「怒りたいのは私よ! わかりきったことをいちいち聞かないで自分で考えてよ。節穴なの? いっぱい嫌がらせされたの、わからないの?」

「わかったわかった。悪かった」

「わかってない!」


 私ってどうしてこんなにみっともないのだろう。自覚しているのに、感情の暴走が止まらない。二十七年間の人生で、ここまで感情的になるのは初めてだった。告白するならもっと可愛く言いたかった。もっと綺麗に恋をしたかった。


< 257 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop