蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「じゃあ……それって……」


 その当時から私を好きでいてくれたということ? 信じられない思いで彼を見上げる。


「悪かったな。お前が橘派で俺のことが大嫌いなのは知ってたんだけどな」


 蓮司さんは全然悪いとは思っていない顔つきで笑ったけれど、それから少し自嘲気味に苦笑した。


「でも生き地獄だったよ。ただ橘に渡さず手元にしばらく置いておくだけのつもりだったのに、余計に好きになっていった。欲しくて欲しくてたまらなかった」

「嘘! 何回も私に恥をかかせたじゃない。それに枕を持って部屋に行ったときも冷たかったし!」

「お前、俺に対して自分がどんな仕打ちをしたか自覚あるのか? あの夜、俺はほとんど寝られなかったんだからな。隣で気持ちよさそうにぐうぐう寝てるお前を見ながら悶々として、ああ少しでいいから触りたいなと。あの電車の痴漢野郎と変わらない気がして自分が嫌になった」


 思わず大笑いしてしまい、「うるさい」とキスで止められた。


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