蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
その夜、私たちは彼の寝室で初めて本当の夜を過ごした。
「乃梨子はいつも仄かにいい香りがする」
彼が私の首筋に唇を這わせながら言った。なにか答えようとしても、息が震えて声を出せない。服は半分脱がされただけなのに、すでに私の息ははしたなく上がっている。
「こら、抵抗するな」
さらに脱がせようとする彼の手を押さえると彼に耳朶を噛まれた。
「だって……」
「余計に興奮するだろ」
抵抗していた手を慌てて退けたら、彼がふふんと笑って狙っていた服をするりと取り去った。嵌められたとあとから気づく。
いったい夕方から私たちは何度キスをしたのだろう? 唇にも身体にも無数のキスが降り注ぐ。唇で、指で、こすれる彼の肌でかきたてられる感覚に息を乱した。