蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
今、蓮司さんとこうやって揉めているのは、私たちがお見合いをしたあの郊外のホテルのリニューアル工事に関してだ。庭園のリニューアルは開業時と同じく白川花壇が手掛けることになった。
「一週間以内にこれはと思うものをいくつか画像でお見せします。それ以外のものはもう手配できています。たくさんのお客さまに長く愛でられるものだから、納得のいくものを提供したいんです」
私が真面目に畳みかけると、蓮司さんは渋々といった様子で頷いた。
「では、私はこれで」
出口に向かいかけた私はくるりと振り向き、彼に問いかけた。
「あと二十分で私たちの式の打ち合わせなんだけど、行くわよね?」
すると蓮司さんは勿体ぶったように考え込む素振りを見せた。
「さあ……どうするかな。工期が遅れそうだと各方面に連絡を入れなきゃいけないから、俺は無理だろうな」
「あら、そう」
家でも仕事でもなんて嫌味ったらしい男。私はヒールの音を鳴らして出口に向かうと、ドアを開けてから捨て台詞を返した。
「じゃあ、担当の橘部長とふたりきりでみっちり打ち合わせしてきます」
「おい! 待て」
ドアの閉まり際に聞こえた彼の声に忍び笑いを漏らしながらホテルロビーに向かう。面接のときはあのタイミングでこけたんだっけ。
「一週間以内にこれはと思うものをいくつか画像でお見せします。それ以外のものはもう手配できています。たくさんのお客さまに長く愛でられるものだから、納得のいくものを提供したいんです」
私が真面目に畳みかけると、蓮司さんは渋々といった様子で頷いた。
「では、私はこれで」
出口に向かいかけた私はくるりと振り向き、彼に問いかけた。
「あと二十分で私たちの式の打ち合わせなんだけど、行くわよね?」
すると蓮司さんは勿体ぶったように考え込む素振りを見せた。
「さあ……どうするかな。工期が遅れそうだと各方面に連絡を入れなきゃいけないから、俺は無理だろうな」
「あら、そう」
家でも仕事でもなんて嫌味ったらしい男。私はヒールの音を鳴らして出口に向かうと、ドアを開けてから捨て台詞を返した。
「じゃあ、担当の橘部長とふたりきりでみっちり打ち合わせしてきます」
「おい! 待て」
ドアの閉まり際に聞こえた彼の声に忍び笑いを漏らしながらホテルロビーに向かう。面接のときはあのタイミングでこけたんだっけ。