蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「なんたる屈辱……」


 彼は本気で私に手を出そうとしたわけではない。結婚はビジネスだとうそぶく私への脅しと辱めと、あと認めたくはないけれど、ほんの少しの優しさと。

 なのに私ったら、すっかりその気に──。


「なってない!」


 ひとりきりの部屋でむきになって言い張った。


「紛らわしいこと言うからよ! 初心者相手に無駄に色気出すし」


 しかし言い訳が尽きると、私は悄然と項垂れた。

 あの男には敵いそうにない。
 このお見合い、いったいどうなってしまうのだろう?




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