蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 そんな私の心中を読んだのか、彼女は少し悪戯っぽく笑った。


「なんて高慢で嫌な女だろうって思ってるでしょ?」


 私が笑い出し、彼女も笑う。


「嫌いじゃないです。その性格」


 彼女は私の言葉を聞いて満足そうに微笑んだ。


「このぐらい性格が悪くないと芸能界ではやっていけないのよ。じゃあまたね」


 赤いドレスに栗色の髪を揺らして綾瀬花音が去っていくのを見送っていると、私の隣に先ほどまで対峙していたグレーのスーツが並んで立った。蓮司さんだ。


「オマケはいらないって言い渡したんじゃなかったの?」

「なにか言ってたか?」

「あなたは芸能界に向いてる、花の世界にはもったいないって。得意そうに自慢されたんだけど」

「うまいこと抜粋されるもんだな」


 隣で蓮司さんが笑う。意地悪で冷徹で、でも笑うととても魅力的な私の初恋の人。


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