蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
***
「冗談じゃないわよ……」
昨日の一連の出来事を思い出し、デスクで項垂れる。
ポケットの中でスマートフォンが振動したので取り出してみると、真帆からメッセージが入っていた。真帆にだけは橘部長とお見合いすることを打ち明けていたので、結果を聞きたくてウズウズしているのだろう。
『どうだった? 夕べ連絡なかったから、もしかしてプリンスと盛り上がっちゃってたとか? キャー』
メッセージの最後につけられた大量のハートマークにどっと溜息が漏れる。
昨日の午後二時五分前までは私も真帆と同じテンションだった。そう、あの男が現れるまでは。
いったい真帆にどう説明したものだろうか。今回のことを知ったらぶっ飛ぶだろう。
「白川さん、お疲れさま」
頭を抱えていると、橘部長の声とともに湯気を立てるデミタスカップがデスクに置かれた。
「プルミエのコーヒーだからおいしいよ。インカムでお開きの報告を聞いてすぐ取りに行ってきた」
「わあ、ありがとうございます! いただきます」
プルミエとは、このホテルでもっとも格の高いレストランのことだ。橘部長が労いを込めて調達してくれたらしい。私たち平社員にはない特権だ。
「冗談じゃないわよ……」
昨日の一連の出来事を思い出し、デスクで項垂れる。
ポケットの中でスマートフォンが振動したので取り出してみると、真帆からメッセージが入っていた。真帆にだけは橘部長とお見合いすることを打ち明けていたので、結果を聞きたくてウズウズしているのだろう。
『どうだった? 夕べ連絡なかったから、もしかしてプリンスと盛り上がっちゃってたとか? キャー』
メッセージの最後につけられた大量のハートマークにどっと溜息が漏れる。
昨日の午後二時五分前までは私も真帆と同じテンションだった。そう、あの男が現れるまでは。
いったい真帆にどう説明したものだろうか。今回のことを知ったらぶっ飛ぶだろう。
「白川さん、お疲れさま」
頭を抱えていると、橘部長の声とともに湯気を立てるデミタスカップがデスクに置かれた。
「プルミエのコーヒーだからおいしいよ。インカムでお開きの報告を聞いてすぐ取りに行ってきた」
「わあ、ありがとうございます! いただきます」
プルミエとは、このホテルでもっとも格の高いレストランのことだ。橘部長が労いを込めて調達してくれたらしい。私たち平社員にはない特権だ。