蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
ここで私は負けん気を出してしまった。
そっちがそう来るなら受けて立とうではないか。
両手にぶら下げるデミタスカップと首が痛くなるほどの身長差のせいで今ひとつ迫力が出ないけれど、私も腕組みをして彼を下から睨み上げる。
「こちらもまったく問題ありません」
「なら成立だ」
彼は動じる様子もなくちらりと腕時計を見て、まるで事務連絡でもするようにさらなる爆弾を落とした。
「あとで俺の住所をメールしておくから、引っ越しの希望日を教えてくれ。なるべく早い日がいい」
「……へ?」
腕組みをしていた私の両手が両脇にだらんと下がった。
「一緒に住むのが合理的だろう。不規則な勤務をいちいち合わせなくて済む」
「そ、そんな! 結婚前の男女が同棲……いや一緒に住むのはよろしくないんじゃないでしょうか」
同棲という響きに自ら反応してしまい、顔が真っ赤になる。いや、そもそも同棲云々ではなくこの縁談自体を撤回したいのに、論点がずれているではないか。でも、わかっているのに彼の手管にかかると調子が狂う。
そっちがそう来るなら受けて立とうではないか。
両手にぶら下げるデミタスカップと首が痛くなるほどの身長差のせいで今ひとつ迫力が出ないけれど、私も腕組みをして彼を下から睨み上げる。
「こちらもまったく問題ありません」
「なら成立だ」
彼は動じる様子もなくちらりと腕時計を見て、まるで事務連絡でもするようにさらなる爆弾を落とした。
「あとで俺の住所をメールしておくから、引っ越しの希望日を教えてくれ。なるべく早い日がいい」
「……へ?」
腕組みをしていた私の両手が両脇にだらんと下がった。
「一緒に住むのが合理的だろう。不規則な勤務をいちいち合わせなくて済む」
「そ、そんな! 結婚前の男女が同棲……いや一緒に住むのはよろしくないんじゃないでしょうか」
同棲という響きに自ら反応してしまい、顔が真っ赤になる。いや、そもそも同棲云々ではなくこの縁談自体を撤回したいのに、論点がずれているではないか。でも、わかっているのに彼の手管にかかると調子が狂う。