蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 突然カップ酒がテーブルに勢いよく下ろされる。


「超当たりじゃん! 乃梨子、いいなぁ!」

「どこが! 鷹取部長が私の天敵なのは知ってるでしょ!」

「知ってるけども、絶対いいよ。橘部長より上手いと思う」

「上手いって、何が?」

「ベッド」

「ブッ」


 とりあえず彼の名を明かす難所を越え、やれやれとカップ酒を口にしていた私は吹き出した。


「真帆、ベッドって、上司をそんな目で見てるの?」

「乃梨子がファンシーすぎるのよ。経験ないから」

「経験ないのは関係ないし!」


 まあ、まだ記憶に鮮やかすぎる昨日のベッドでの勘違いを思い出すと、私も人のことはとやかく言えない。
 ハンカチで口を拭き終えると、私は続きを話し始めた。


「それでね。うちの親が乗り気で、まあいろいろあって、ど、同棲することになったのよ」

「ええ?」


 真帆に散々悲鳴を上げられながら、私は一連の出来事を説明した。ベッドで私が勘違いしたことはもちろん伏せたけれど。


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