蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
すると彼は呆れた顔をした。
「そこまでピリピリしなくていいんじゃないか? パパラッチに狙われてるアイドルでもあるまいし」
私の顔が火を噴いた。悔しいけれど実にその通りだ。
でも、ほかに言い方があるだろうに。
「そういうことじゃなくて! これでも嫁入り前の女なんです」
「橘部長に知られるのが嫌なのか? どうせいずればれるのに往生際が悪いな」
「橘部長は特別なんです。理想の男性だし、子供の頃の思い出もあるし」
わざと橘部長派であることを強調する。〝婚約者〟である彼に失礼なのは承知のうえだ。
「思い出? どんな?」
「秘密です」
「ふーん」
彼は小馬鹿にした反応だったけれど、私のセンチメンタルな思い出にさしたる興味はなかったらしく、それ以上突っ込んでこなかった。
「まあわかった。了解だ」
彼はあっさりそう言うと「コーヒーを淹れてくる」と言い置いてキッチンに行ってしまった。
すんなり同意してくれたところを見ると、やはり彼[平林68]も本気で私と結婚する気はないのだろうし、社内の女子の人気を失いたくないのか、それともほかに誰かいるのか、まあそんなところだろう。
「そこまでピリピリしなくていいんじゃないか? パパラッチに狙われてるアイドルでもあるまいし」
私の顔が火を噴いた。悔しいけれど実にその通りだ。
でも、ほかに言い方があるだろうに。
「そういうことじゃなくて! これでも嫁入り前の女なんです」
「橘部長に知られるのが嫌なのか? どうせいずればれるのに往生際が悪いな」
「橘部長は特別なんです。理想の男性だし、子供の頃の思い出もあるし」
わざと橘部長派であることを強調する。〝婚約者〟である彼に失礼なのは承知のうえだ。
「思い出? どんな?」
「秘密です」
「ふーん」
彼は小馬鹿にした反応だったけれど、私のセンチメンタルな思い出にさしたる興味はなかったらしく、それ以上突っ込んでこなかった。
「まあわかった。了解だ」
彼はあっさりそう言うと「コーヒーを淹れてくる」と言い置いてキッチンに行ってしまった。
すんなり同意してくれたところを見ると、やはり彼[平林68]も本気で私と結婚する気はないのだろうし、社内の女子の人気を失いたくないのか、それともほかに誰かいるのか、まあそんなところだろう。