蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 洗剤の包みを玄関に運ぶ彼の背中を見送る。
 もしかして気遣ってくれた? 普通は下の階にまで挨拶に行かないだろう。

 ところがリビングに戻ってきた彼は言った。


「ランドリーサービスを利用しているから、洗剤はあまりいらない」


 なによ、いらないだけじゃないの。私の口がへの字に曲がる。


「洗濯機はありますよね?」

「一応ある」

「私はランドリーサービスを利用しませんので、それ使います」


 とにかく嫌われなければいけないので、どうでもいいことでも反抗すべし。


「まあいいけど、ここは強風だからな。下着を道路にばら撒きたいなら俺は止めない」

「…………」


 この男に言い合いで勝とうとしても無駄みたいだ。


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