蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「…………」


 ふたりとも動きを止めたまま、恐ろしく長い沈黙が落ちた。


「わ、笑いたきゃ笑いなさいよ」


「悪かった」


 突然、聞いたこともないような優しい声で謝られ、彼の手が胸元を掻き合わせる私の手に触れた。そっと私の手を開き、ボタンを留めていく。


「からかって本当に悪かった」


 それからソファーが揺れ、元通りになった胸元にふわりとなにかがかけられた。


「茄子はうまかった。乃梨子が作ったものは食べる」


 彼の足音が廊下に出ていき、浴室に消えると、私はようやく目を開けた。胸にかけられたブランケットを頭から被る。


「なんてこった……」


 どうして全部ぶっちゃけちゃったのよ?
 恥ずかしくてもう彼に合わせる顔がない。


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