蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
キッチンに行き、手早く夜食を作り始めた。作り置きしていた鶏ささみの醤油漬けを冷凍庫から取り出してチーズを乗せ、オーブンで焼く間、小松菜の煮びたしを作る。昨夜の余り物の里芋の煮物を柚子味噌で和えてアレンジするまで十五分もかからない。彼が疲れているときは手早さ優先のメニューだ。
「どうぞ」
お盆に三品とお漬物、彼のためにお茶漬けの用意をしてリビングまで運んでいくと、蓮司さんはそれまで開いていたパソコンを閉じてテーブルの上を片づけた。
「酒が飲みたくなる味だな」
蓮司さんがそう言って、キッチンからワインとグラスをふたつ持ってきた。
ダイニングでの向かい合わせではなく、ソファーに並んでの食事はまるでバーのカウンター席のような緩やかな距離感だ。
「お疲れさまです」
グラスを合わせ、料理をつまみながら夜景を眺める。音楽もテレビもつけていないけれど、不思議と沈黙が嫌ではなかった。
でもしばらくすると、少しは機嫌が直ったかなと気になってきて、隣を覗き込んだ。
「なに?」
「なんでもないです」
蓮司さんが寛いだ表情だったので安心する。
「どうぞ」
お盆に三品とお漬物、彼のためにお茶漬けの用意をしてリビングまで運んでいくと、蓮司さんはそれまで開いていたパソコンを閉じてテーブルの上を片づけた。
「酒が飲みたくなる味だな」
蓮司さんがそう言って、キッチンからワインとグラスをふたつ持ってきた。
ダイニングでの向かい合わせではなく、ソファーに並んでの食事はまるでバーのカウンター席のような緩やかな距離感だ。
「お疲れさまです」
グラスを合わせ、料理をつまみながら夜景を眺める。音楽もテレビもつけていないけれど、不思議と沈黙が嫌ではなかった。
でもしばらくすると、少しは機嫌が直ったかなと気になってきて、隣を覗き込んだ。
「なに?」
「なんでもないです」
蓮司さんが寛いだ表情だったので安心する。