蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「まあ、たったこれだけの淡い思い出なんですけど」
話し終えると無性に恥ずかしくなり、私は俯いて照れ笑いした。
「それ、橘部長とは限らないだろ。建設会社の息子かもしれないしな」
「あ……そっか」
蓮司さんの冷静な指摘に渋々納得したあと、私は膝の上でワイングラスを揺らした。
「いいんです。好きに想像するだけですから」
彼は軽く笑い、ひとつだけ残っていた料理を取った。
「それで、その白詰草は?」
「それが……夏の暑さにやられてしまって、一年も持たずに枯らしてしまったんです。水をやりすぎたのかなとかすごく後悔しました。悲しくて、植えていた土も植木鉢もしばらくそのまま大切に残してました。もう一度芽を出してくれないかなって……でも駄目でした。そのときに本気で決意したんだと思います」
「なにを?」
「相手はもういないけど、あの約束を守るって」
日本一素敵なお花屋さんってなんだろう?
最近はそれを考える。日本一有名なのか、日本一大きいのか、それともほかのなにかなのかを。
彼は黙って私のグラスにワインを足した。
話し終えると無性に恥ずかしくなり、私は俯いて照れ笑いした。
「それ、橘部長とは限らないだろ。建設会社の息子かもしれないしな」
「あ……そっか」
蓮司さんの冷静な指摘に渋々納得したあと、私は膝の上でワイングラスを揺らした。
「いいんです。好きに想像するだけですから」
彼は軽く笑い、ひとつだけ残っていた料理を取った。
「それで、その白詰草は?」
「それが……夏の暑さにやられてしまって、一年も持たずに枯らしてしまったんです。水をやりすぎたのかなとかすごく後悔しました。悲しくて、植えていた土も植木鉢もしばらくそのまま大切に残してました。もう一度芽を出してくれないかなって……でも駄目でした。そのときに本気で決意したんだと思います」
「なにを?」
「相手はもういないけど、あの約束を守るって」
日本一素敵なお花屋さんってなんだろう?
最近はそれを考える。日本一有名なのか、日本一大きいのか、それともほかのなにかなのかを。
彼は黙って私のグラスにワインを足した。