極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~
「唯一無二の存在。代わりは誰もいない」
「織の役に……立てる?」

 今気づいた。
 私は、自分で思っていた以上に、ハンナさんの言葉が大きくのしかかっていた。

 冷静になれば、人と比べることではないってわかるのに、ハンナさんと比較して自分を過小評価して……。

 織は自信がなくなって、今にも砕けそうになっていた心を包み込んでくれた。
 彼の微笑みを見るだけで、ピンと張っていた緊張が緩んで涙が出そうになる。

「麻結。俺はね。麻結からインスピレーションを受けるから一緒にいたいって思ってるわけじゃない。デザインとか取っ払っても、俺が麻結に隣にいてほしいだけ」

 優しさの中に、芯の強さを確かに感じられる。
 そういうふうに、私を想って見つめてくれることがこんなにもうれしい。

「そりゃそうだろう。仕事をするずっとずっと前から、麻結だけを想ってたんだ」

 一緒にいた頃に、織の気持ちに欠片も気づかなかった自分が情けない。
 けれど、過去よりも未来を見て、常に歩き続けたい。

 私は織の懐に飛び込んで、両腕を背中に回した。

 ものすごく照れくさいし、顔も上げられない。それでも、こみ上げる想いをうまく表現できる気がしなくて、咄嗟に織に抱き着いた。

 ――刹那、織に身体を引き剥がされる。

「……なんで?」

 浮上した気持ちが、急降下する。拒絶された事実に、心が鉛のように重くなり、苦しさを堪え、ぎゅっと唇を噛んだ。
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