極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~
「麻結……もしかして、やきもち?」

 きょとんとして聞き返され、居たたまれなくなる。

 私、いつから織に対して独占欲が強くなったの?

 これまで織を誰かに取られる不安だとか、織が離れていくだとか深く考えていなかったのかもしれない。

 もっとも、五年前までの織は今の織とは全然違っていて、ずっと私のそばにいてくれるって無意識に高をくくっていたのかも……。

 だとしたら私って、元々織への独占欲があったんじゃ……。

「しっ、知らな……きゃあ! ちょっ……し、織!?」

 ごまかそうとした矢先、長身の織に頭からすっぽり覆いかぶさられる。

「やばい。めちゃくちゃ可愛い」

 視界が閉ざされたら、自然と聴覚や嗅覚が研ぎ澄まされるみたいだ。

 織のうれしそうな声とオードトワレの香りに、頭の奥がくらくらしそう。心臓がバクバクいって、息が苦しい。

 織の腕の中で微力ながら抵抗すると、彼の手が緩んでいった。
 ほっとしたのも束の間、顎を捕らえられ、唇を奪われる。

「あ、んん……っ」

 ふいうちなうえ、次第に濃厚になっていくキスに、どちらにしても酸欠になりそうだった。

 苦しささえも、織の気持ちの大きさかと思えば愛おしい。
 胸の奥が締めつけられ、目尻に涙が溜まる。

 口がゆっくり離れていったときには、浅い呼吸を繰り返していた。足の力も抜けている。
 織に支えられていなければ、この場に座り込んでいた。

 動機を少しでも落ち着けようとしていたら、いきなり抱き上げられる。視点が一気に高くなり、小さな悲鳴を上げた。

 織は無言で私をシングルベッドに横たえる。

 そろりと瞼を開くと、目前には情欲に満ちた男の表情をした織が、視線で私を捕らえて離さない。
 私の足元をまたぎ、艶めいた眼差しをしている。
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