極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~
 さらに一か月が経った。

 ソフィアさんの挙式は明日。
 そのため、私は今日日本を発ってフランスに向かう。

 滞在は三日だけだけど、初めてのヨーロッパ旅行に胸が弾む。参列用のドレスが入ったスーツケースを手に、搭乗手続きに向かった。

 直行便だと移動は約十二時間。昼前のフライトだけど、時差があるから向こうに着くのは現地時間で大体午後六時から七時くらい。

 長旅だな、と思う反面、滅多にない経験にドキドキする。
 なんていっても、ファーストクラスだ。この先、絶対にこんな旅はできない。

 ソフィアさんに感謝して、私は機内の小さな窓越しに半日後の想像をして口元を緩ませた。

 シャルル・ド・ゴール空港に到着し、荷物を受け取って出口を通過すると、織の姿を見つける。瞬間、張り詰めていた緊張が緩んだ。

「麻結」
「織っ」

 織の笑顔を見つけた途端、私は無意識に駆け寄っていた。

 手を伸ばせば触れられる距離に織がいる。
 すぐそこに、優しい瞳に私を映し出す織が……。

「疲れただろ? 荷物貸して」

 織はさりげなく私のスーツケースを取って歩き出す。

「うん。だけどファーストクラスだったから思ったより平気だったよ。ソフィアさんにお礼言わなきゃ」
「まずは移動して食事しようか。そのあとはアパートメントに帰る感じでいい?」
「織に任せる。私、実は織をあてにしてほとんどプラン考えてなくて」

 どちらかといえば方向音痴な私。日本国内ならまだしも、フランスとなると交通機関や観光場所までの距離感とか全然わからなくて。

 ゆっくりできる旅行なら、自分でも計画してみようかなって思えたかもしれない。しかし、今回タイトなスケジュール。
 だったら、詳しい織に委ねるのが一番と思った。
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