極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~
織と別れて五年。
高校卒業後、私は短大へ。織はファッションデザイナーの専門学校へ進学した。
初め、織の進路を聞いたときは驚愕した。私服にこだわる様子なんか見られなかったから。
でも、すぐに納得はできた。
織は小さいころから独創的で、手先の器用なタイプだ。
私は自分が描くよりも織が描いた絵のほうが上手だから、いつも自分の考えた洋服を織に描いてもらっていた。だから、案外向いているとは感じていた。
実は、私が小中学生のころ、裁縫を習っていたのは織のお母さんだった。
つまり、織の才能は母親譲りなのだ。
すると、織は専門学校三年目で、コンテストに入賞し、あれよあれよという間にフランス留学が決まったのだ。
あれは本当に急なことで、関係ないはずの私ですら戸惑った。
当の本人は飄々としていて、ひとこと『パリに留学する。少しだけ待ってろ』とだけ言い残していった。
『待ってろ』って、いまだに聞きそびれているけれど、なんだったんだろう。
ちらりと織を窺う。織は手の甲で、するっと私の頬を撫でた。
「うん。きれいになった」
予想もしていないセリフに、頭が爆発しそう。
私は思い切り後ずさって、大きな声で反論する。
「なっ……いや! それ、たぶんメイクの仕方だから! 一応去年まで店長やってて、身だしなみには気を遣っていたし!」
「なんで褒めたら否定するんだよ」
織は軽くため息をついて、呆れ声で言った。
高校卒業後、私は短大へ。織はファッションデザイナーの専門学校へ進学した。
初め、織の進路を聞いたときは驚愕した。私服にこだわる様子なんか見られなかったから。
でも、すぐに納得はできた。
織は小さいころから独創的で、手先の器用なタイプだ。
私は自分が描くよりも織が描いた絵のほうが上手だから、いつも自分の考えた洋服を織に描いてもらっていた。だから、案外向いているとは感じていた。
実は、私が小中学生のころ、裁縫を習っていたのは織のお母さんだった。
つまり、織の才能は母親譲りなのだ。
すると、織は専門学校三年目で、コンテストに入賞し、あれよあれよという間にフランス留学が決まったのだ。
あれは本当に急なことで、関係ないはずの私ですら戸惑った。
当の本人は飄々としていて、ひとこと『パリに留学する。少しだけ待ってろ』とだけ言い残していった。
『待ってろ』って、いまだに聞きそびれているけれど、なんだったんだろう。
ちらりと織を窺う。織は手の甲で、するっと私の頬を撫でた。
「うん。きれいになった」
予想もしていないセリフに、頭が爆発しそう。
私は思い切り後ずさって、大きな声で反論する。
「なっ……いや! それ、たぶんメイクの仕方だから! 一応去年まで店長やってて、身だしなみには気を遣っていたし!」
「なんで褒めたら否定するんだよ」
織は軽くため息をついて、呆れ声で言った。