通信制の恋
「…美味い。なにこれ、今まで食べてきた卵焼きの中でもめっちゃ美味しい。」


「ほっ…、よ、良かった〜…。直、めっちゃ溜めるんだもん、不味いのかと思っちゃったじゃん。」


「俺は感動してただけ。」


その後も直はパクパクとおかずとご飯を交互に食べ、その度に"美味しい美味しい"と感想を述べてくれた。


私もホッとしてやっと自分のお弁当にも手を付け始めた。


うん、美味しい。

唐揚げは昨晩のうちに揚げておいて、卵焼きなどは今朝作ったばかりだった。


少し早起きをしたため、ご飯を食べ終わると睡魔がやってきた。



「結?ゆーい。眠いの?」


「ん…、ごめん、今日早起きしたから、ご飯食べたら眠くなっちゃって…」


「まだ出発時間まで時間あるから、目閉じたら?」


「いいの?」


「俺の膝枕付きだけど、どうする?」


「う…、横になります。」


直の膝枕はレアだと思い、思わず返事をしてしまったが、これはかなり恥ずかしい状態だった。


「直、私の顔にタオル掛けて。」


「それじゃあ、結、死んじゃうじゃん。」


「今のこの状況で真っ赤な顔見せる方が死ぬ」


「はいはい。タオルね。」


そういうと直は側にあった私のハンドタオルを顔にファサっと掛けてくれた。


これで幾分かは恥ずかしさも軽減されるだろう。


直が私の肩のあたりをゆっくりと軽く叩いてくれて、すると、私はスッと夢の中に入っていった。

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