通信制の恋
しばらく歩くと4つ目のチェックポイントに辿り着き、スタンプを押してもらった。


「ゴールは海だからね〜」


なんの教科担当の先生か忘れたが、チェックポイントにいた先生がそういうと、私は俄然力が湧いてきた。


「海まで行こう!」


「張り切りすぎて転ばないでよ、結」


「転ばないよ!ほら、早く!」


私は直と繋いだ手をぐいぐいと引っ張り、午前中より少しペースアップしてゴールの時間まで急いだ。





日も傾いてきた頃、私たちはやっとゴールの海へと辿り着いた。



「着いた〜〜!!!」


「あ〜、疲れた…」


「でも、海綺麗だよ、杏樹ちゃん!」


「夕陽も綺麗だね」


スタンプも無事7つ集め、総合学習の出席日数も取れ、単位も取れ、一石二鳥だった。


タイムアップの時間まで私と杏樹ちゃんは、疲れを吹っ飛ばせるために海に足をつけに行った。


靴と靴下を脱ぎ、海辺を走ると独特の砂の感触にワクワクした。


「あんまり、遠くへ行くなよ〜」


「「はーい」」


東雲くんの親御のような声に私と杏樹ちゃんは元気いっぱいの返事をした。



「わっ、冷たい!」


「ホントだ、冷たい!気持ちいいね!」


パシャパシャと足を海に付けると冷たい海の水が足の疲れを癒してくれるようだった。

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