通信制の恋
次の日。


私がバイトに行くと、まきさんが私の方へやってきた。


「ごめんね、結ちゃん。今日直が急用でバイト休みになっちゃって、ホール1人でやることになるけど、大丈夫かな?」


「あ、はい。分かりました。なんとかやってみます」


「ごめんね、ありがとう。」


まきさんはそういうと従業員の休憩スペースから出て行った。


「(バイトも休み…、なんかあったのかな…)」


直のことも心配しつつ、私は普段の倍以上にバイトを頑張った。





「ふぅ…」


今日もバイトが終わり、エプロンをはずし、ロッカーに畳んで仕舞うと、私はスマホを取り出した。


「まだ既読つかない…」


昨日の夜に送ったメッセージの既読が未だにつかなかった。




もなら直に送ってもらう家への帰り道もなんだか寂しかった。


「(直に送ってもらうのが当たり前になってたんだ…)」


直の大切さを再認識していると駅前の人混みの中に、見慣れた顔を見つけた気がした。


「直…?」


それはなんと今最も会いたかった人だった。

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