通信制の恋
2週間とはあっという間で、バイトと学校を交互に行き来する日が増え、忙しさも増していた。

そして旅行の日当日。


旅行当日の朝は早く、まだ母さんが寝てる間に、出発した。


母さんにはちゃんと旅行のことも伝えてある。


伝えた時にはそりゃもう、私よりも嬉しそうにしていた。


「旅行!?いいわね!行ってらっしゃいな!」


と言った感じだった。



朝早くに家から最寄りの駅へ行くと、駅の入り口の壁に寄りかかるように立つ直がいた。



「直!」


「あ、結。来たね。じゃあ、行こっか。」


直も私も小型のキャリーケースをガラガラと引いて駅に入った。


朝が早いせいか、駅は閑散としていて、新幹線のホームにも人はまばらだった。


でも、新幹線の席はまぁまぁ人がいて、みんなどこかへ行くんだろうなぁと他人事のように見ていた。


新幹線に乗るといっても、行くのは隣の隣くらいの県で、乗っている時間は比較的短い方だと思う。







新幹線が出発して1時間ほどで目的地の県に辿り着いた。


そこから、在来線に乗り継ぎ、目的の温泉街があるところまでやってきた。



「わ〜〜、風情ある建物!こういうの好き!」


「結が気に入ってくれて良かった。さ、宿にチェックインしたら、観光しよ。」


「はーい。」


直について行き宿に入った途端、"いらっしゃいませ"と従業員さん勢揃いかと思うほどの人数の仲居さんが歓迎してくれた。


ロビーのカウンターで、直がチェックインを済ませてる間に私は広いろびーをキョロキョロと見て回った。


ロビーには中庭に通じる扉があるようで、中庭はこれまた風情のある緑溢れる中庭で、小さな滝やししおどしなどが見えた。

< 123 / 167 >

この作品をシェア

pagetop