通信制の恋
((天野 直視点))


こういった、旅館やホテルの大浴場に入ったのは何年振りだろうか。


記憶を遡るのが難しいほど昔のような気がした。


大きな温泉に浸かり、ふぅ…と一息吐く。


結は今頃お風呂の大きさにも興奮してるんじゃないだろうか。


そう思えばくすりと笑いがこみ上げてきた。



そこでのぼせないうちに、温泉から上がり体と髪の毛を洗って、今度は露天風呂へと行ってみた。



「ここも広いな…」


思わず口に出してしまうほど、ここの旅館のお風呂は広かった。


ネットで調べた時からこのお風呂の綺麗さに魅了されて決めたのもある。


きっと結も喜んでくれるだろう。


そんなことを思っていると段々と体が火照り始めたので、俺は風呂を上がることにした。


部屋に置いてあった浴衣を貰い、簡単に着付けると、俺は男湯と女湯の入り口のソファーに凭れた。


近くには自販機があり、普通の牛乳から、イチゴ牛乳、フルーツ牛乳、コーヒー牛乳が売られていた。


俺は風呂の後の喉の渇きから気付けばコーヒー牛乳を買っていた。


懐かしい瓶に入ったタイプで、蓋をしゅぽっと開けると、一気に喉に流し込んだ。


風呂に入った後の所為もあるのかもしれないが、こんなにコーヒー牛乳が上手いとは思わなかった。


なんだか、好きなものが増えた気がした。

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