通信制の恋
あどけない表情で眠る直の頬を撫でて、私は自分から"ちゅ"と頬にキスをした。


「おやすみ、直。」


恥ずかしさから再び直の胸に顔を埋めて私は眠りについた。


まさか直が起きていて、悶えているとは知らずに。






朝。



ちゅんちゅんと雀の鳴き声に目を開けると、"おはよ"と頭上から声がかかった。


「お、おはよ…」


未だ何も身につけていない私に対して直はすでに浴衣を着ていて、恨めしそうに直を見た。


「なに?」


「着替えたいんですけど」


「着替えれば?」


「向こう向いてて!!」


「はいはい。昨日全部見たのに。」


「それとこれとは別!」


大人しく背を向けた直に私は散乱していた下着を掻き集めて、着替えを済ませた。


「いいよ。」


私がそう合図を出せば直は、部屋にあったポットからゆのみに注ぎ、私に差し出してきた。


「ほら、喉渇いてるでしょ。飲みな。」


「あ、ありがとう…」


ゆのみの中は温かなお茶で私は猫舌のため、ちびちびと飲んだ。


「それ飲んだら、チェックアウトしてお土産買いに行こうか。」


「ん。」


お茶を飲みながら、こくりと頷くと、直はポンポンと私の頭を撫でた。
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