通信制の恋
それから、バイトと学校の行き来を何回かした後、ついにテスト1週間前の木曜日になった。


杏樹ちゃんは午後に来る予定だった。


私は部屋の片付けをして、勉強用の丸いテーブルを用意して杏樹ちゃんを待った。





ピンポーン



「はーい!」



バタバタと階段を降りて1階の玄関を開けるとそこには、可愛らしくモコモコになっている杏樹ちゃんがいた。


「ごめんね!寒いところ!」


「ううん、大丈夫!フル装備してきたから!」


「だろうね!」


部屋に案内するとあれこれや着てきたコートやマフラー脱いだ杏樹ちゃんは早速レポートと教科書、ルーズリーフを取り出した。


「あ、私飲み物持ってくるから、先始めてて。」


「ん、ありがとう、結。」


そう言って私は1階に降り、キッチンで温かい紅茶を用意した。


ちなみにお母さんは今日は昔の職場の友達とランチに行っていた。





部屋へ戻ると、杏樹ちゃんが教科書とレポートを交互に睨めっこをしていた。


「どう?進んだ?」


「全然。結のレポート、ほとんど丸でしょ?ちょっと答え見せてよ。」


「えー、ちゃんと解説付きじゃないと頭に入らないよ?」


「解説は結先生がしてください!」


「もー…、じゃあ、どこが間違ってたの?」



と私は杏樹ちゃんのレポートの間違えている部分を私のレポートと照らし合わせて、正しい答えを確認し、そこから更にもう一度解けるように一問一答形式で問題を作っていった。

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