通信制の恋
少し縮んだ距離感
今日は、木曜日。
体育の授業がある日だ。
この日も杏樹ちゃんと一緒に行動をし、一緒に体育館の更衣室へと向かった。
動きやすいジャージに着替えて貴重品である、お財布とスマホを先生に預けると、私たちはクラスごとに整列した。
授業が始まると、毎度のごとく出席が取られた。
体育の日は大抵2時間続きなので、2時間両方出るのか、1時間だけ出るのか、それを聞かれることがある。
「名前とクラス名、あと何時間出るのか。」
「黒沢結。1-Bです。2時間とも出ます。」
「黒沢だな、よし、分かった」
体育の先生にそう伝えると次は後ろにいる杏樹ちゃんの元へと移った。
そして何より、この時間、緊張しているのはあの天野くんが体育に参加していることだ。
ただでさえ、寝てることが多いのに、運動をする姿を見ることができるなんて思っても見なかったため、私のテンションは上がっていった。
「今日はバレーボールだ。ペアになってトスやレシーブの練習をするぞ」
「結、一緒にやろ!」
「うん!」
そう言った先生の言葉の後、後ろの杏樹ちゃんが私の肩をトントンと叩き、私を振り向かせた。
バレーボールを取りに行き、早速杏樹ちゃんと距離をとってラリーの練習から入った。
「よっ、と!」
「あ!ごめん、ズレた!」
杏樹ちゃんは元々運動神経がいいのか、下手な私が相手でも上手く返してくれて、なんとかラリーが続いていた。
しかし、
「あっ、ごめん!」
杏樹ちゃんがあげたボールが大きな弧を描き私の頭上を越えていってしまったため、私は対応できず、ボールを追いかけることになった。
ころころと転がっていくボールに"待って待って"と追いかけ、ようやくボールを掴んだそのとき、
「結、危ない!!」
「え?」
杏樹ちゃんの叫び声で、私が振り返ろうとした瞬間、こめかみに強い衝撃を受け、私は倒れた
体育の授業がある日だ。
この日も杏樹ちゃんと一緒に行動をし、一緒に体育館の更衣室へと向かった。
動きやすいジャージに着替えて貴重品である、お財布とスマホを先生に預けると、私たちはクラスごとに整列した。
授業が始まると、毎度のごとく出席が取られた。
体育の日は大抵2時間続きなので、2時間両方出るのか、1時間だけ出るのか、それを聞かれることがある。
「名前とクラス名、あと何時間出るのか。」
「黒沢結。1-Bです。2時間とも出ます。」
「黒沢だな、よし、分かった」
体育の先生にそう伝えると次は後ろにいる杏樹ちゃんの元へと移った。
そして何より、この時間、緊張しているのはあの天野くんが体育に参加していることだ。
ただでさえ、寝てることが多いのに、運動をする姿を見ることができるなんて思っても見なかったため、私のテンションは上がっていった。
「今日はバレーボールだ。ペアになってトスやレシーブの練習をするぞ」
「結、一緒にやろ!」
「うん!」
そう言った先生の言葉の後、後ろの杏樹ちゃんが私の肩をトントンと叩き、私を振り向かせた。
バレーボールを取りに行き、早速杏樹ちゃんと距離をとってラリーの練習から入った。
「よっ、と!」
「あ!ごめん、ズレた!」
杏樹ちゃんは元々運動神経がいいのか、下手な私が相手でも上手く返してくれて、なんとかラリーが続いていた。
しかし、
「あっ、ごめん!」
杏樹ちゃんがあげたボールが大きな弧を描き私の頭上を越えていってしまったため、私は対応できず、ボールを追いかけることになった。
ころころと転がっていくボールに"待って待って"と追いかけ、ようやくボールを掴んだそのとき、
「結、危ない!!」
「え?」
杏樹ちゃんの叫び声で、私が振り返ろうとした瞬間、こめかみに強い衝撃を受け、私は倒れた