通信制の恋
すると、


「体育なら俺、オール100点だけど。」


「なぬっ!?」


声を掛けてきたのは、今まで黙々と復習をしていた、東雲くんだった。


「じゃあ、太陽〜教えて〜」


「うし、ちょっと待ってな。これ終わらせたらな。」


「は〜い、待ってます」


ちょこんと体育座りで待っている杏樹ちゃんが可愛いな、と思いながら私もレポートの復習に取り掛かった。





しばらくみんなで黙々と勉強をしている中、突然杏樹ちゃんが机に突っ伏した。


「あ〜、もうダメ。頭に入らない。パンパン。」


「あはは、杏樹ちゃんギブアップしてたらテストでいい点数取れないよ?」


「もはや赤点さえ回避できればそれでいいんだよ」


「それを言っちゃダメだよ」


杏樹ちゃんの言葉に鋭いツッコミを入れると、私は立ち上がった。


「じゃあ、休憩にしよっか。飲み物とお菓子取ってくるね」


「俺も行く。」


「そんな、直はお客様だから座ってて。」


私についてくる気満々だった直を制して、私は1人で1階に降りた。



おりるとお母さんがいるはずなのに、何故かしーんとしていた。


「お母さん?」


リビングに入ってもいない、キッチンにもいない、と思ってダイニングテーブルを見るとメモ書きがあった。


"彼氏といちゃいちゃしすぎないように!
お母さんは買い物に行ってきます"と

書き置きがあった。



「もう、お母さんったら…」


溜息を吐きながらキッチンで飲み物の用意をし始めた。


ポッドにお水を注いで、火にかけ、待っていると、誰かが2階から降りてくる音がした。


まさか…とは思ったが、そのまさかだった。


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