通信制の恋
すると、紅茶のいい香りがキッチンに広がった。


マグカップに蓋をして1分弱待ち、私はティーパックを取り出して捨てた。


「はい、紅茶の用意できた!直、2階へ行くよ」


「ん。」


直には先ほど用意したクッキーのお皿を持ってもらい、私は紅茶の入ったマグカップをお盆に乗せて2階へと上がった。




「おまたせ〜」


「お、おかえりー。わぁ、クッキーだ!」


私が帰ってくるまでに何かあったのか、杏樹ちゃんと東雲くんは顔がほんのり赤かった。


「(私たちと同じね)」


とそう思って深くは追求しなかった。




4人でクッキーと紅茶を飲んで休憩を挟んだところで、私たちは再び勉強を再開した。





勉強は日が落ちるまでやった。




「は〜、久々にこんなに勉強したわ!これでテストもばっちりかも!」


「それは良かった。赤点回避できそう?」


「うん、大丈夫だと思う!このままテスト当日まで勉強すれば…!」


「頑張ろうね!杏樹ちゃん!」


2人でぎゅっと手を繋いで見つめ合うと、そのまま"ふふっ"と笑った。



勉強が終わると、みんなは帰り支度を始めた。


私の部屋からカーテンを開けて外を覗いてみると、チラチラと雪が降っていた。


「ありゃま…、雪降って来ちゃったよ。」


「まじ!?あ、でも、折り畳み傘持ってきてたんだった。」


「杏樹ちゃん準備いいね」


「えへへ」


「じゃあ、俺は杏樹の傘の中に入れさせてもらうわ」


玄関までみんなを送り届けると、東雲くんが杏樹ちゃんの傘の中に入り、なんだかぎゅうぎゅう詰めだった。


「直には、私の家にある傘を貸すね」


「俺はいいのに…」


「テスト前に風邪引いたらダメでしょ!ほら、持って行きなさい!」


ぐいぐいと直に傘を持たせて、私は玄関でそのままみんなを見送った。



最後に残ったのはもちろん直で、"またね"と言って頬に口付けて帰っていった。


その後の私の腰が抜けかけたのは言うまでもない。

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