通信制の恋
みんなで勉強した所が出てくれるとありがたいがはてさて…


小さなポケットカイロをシャカシャカと振りながら私はボーッとテスト用紙が配られるのを見ていた。


「それじゃあ、始め!」


規定の時間になると、監督の先生が時計を見て、そう告げた。


それと同時に一斉に鳴り出すシャーペンの走る音。


私も例に倣ってシャーペンで、自分の名前を書き始めた。








「たはーっ、終わった〜!!!」


そう言って机にぐったりと倒れる杏樹ちゃんに私は苦笑いを溢した。


「やっと1日目終わったね。」


「これがまだ後1日残ってるとか嫌だわ〜」


「それは言っちゃ駄目だよ…」


お昼も挟んで行われたテストはようやく1日目が終了した。1週間後に2日目のテストがある。


1週間、間があるのはありがたい。その間に受けるテストの範囲を集中的に勉強することができるからだ。


「テストが終われば長ーい冬休みが待ってるよ。」


「そうだよ!それ!また4人で集まろうよ!」


「じゃあ、今度の水曜日私バイトあるし、バイト先のカフェでお話する?」


「するする!ね!いいよね、太陽!」


「急になんだよ。冬休みは家に篭ろうと思ってたのに。」


「そんなこと言わずに外に出ようよ!可愛い彼女が待ってるんだよ!?」


「自分で可愛いっていうとか」


そう言ってしののめくんは杏樹ちゃんに小馬鹿にしたような視線を送って"フッ"と鼻で笑った。


「むきーっ!太陽のばか!意地悪!」


「はいはい。どうとでも言いなさい。」


「軽く受け流すのもむかつく!!!」


杏樹ちゃんといる時の東雲くんはいつもとはちょっと違う。良く喋るしコロコロと表情がよく変わる。
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