通信制の恋
じーっと東雲くんを見つめすぎたのか、突然私の視界が真っ暗になった。



「えっ、えっ、何!?」


「結、太陽のこと、見過ぎ。」


「その声は直だね。もう…手を離して。」


「やだ。今手を離したら太陽が目に入るから。はい、体をくるりと回して…」


目元に当てられた手が退かされることなく、私は体を180度回転させられた。


そこでやっと目元に当てられた手を外された。


その目の前にはドアップの直がいた。


「わぁっ!?」


「彼氏に向かってその反応はないんじゃない?」


「だ、だってこんなに近いとは思わなくて…、びっくりしたんだよ…」

 
「それより、ほら、おいで。暖めて」


両腕を広げて"おいで"と言われるのに、私は弱い。


直も私がその言葉に弱いことを知っておきながら、そう呼ぶんだ。


すすす、と直に近付き椅子に座る直に対して私は立ったままなので、直の顔がちょうど私のお腹に当たる。


「(お腹が鳴らなきゃいいけど)」


なんてことを考えていると、直は、私のお腹にすりすりと顔を擦り付けて抱き締めてきた。
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