通信制の恋
「おーい、お二人さーん。帰るぞー」


「あ、はーい!ほら、直、帰ろ?」


「ん、もうちょっと…」


「もう…」


まるで子供のように駄々をこねる直に私はため息を吐いた。





結局東雲くんと杏樹ちゃんには先に帰ってもらい、私と直だけが教室に残った。


「直、帰ろ?」


「…ん。」


私を堪能し尽くしたのか、直は満足げな表情で立ち上がった。




今日も今日とて雪がシンシンと降る中、私は"はぁ"と自分の息を手に当てて両手を擦り合わせた。


「結。」


私の名前を呼ぶと同時に差し出された手を自然な流れで握ると、直はそのまま私の手を自分のコートのポケットに入れた。



「この方があったかいっしょ?」


「そ、そうだけど…」


いきなりのことで、私はぽぽぽと顔が赤くなるのを感じた。


雪の日の帰り道も悪くないな、と思った。

< 151 / 167 >

この作品をシェア

pagetop