通信制の恋
しばらく店先で私を抱き締めると、直は満足したのか、私の手を握って歩き始めた。


「満足しましたか?」


「ん、満足。結は?」


「私も充電出来ました。」


「俺は充電器か」


「ふふっ」


さっきの私のツッコミに対するかのように、返事を返してきた直に私は思わず笑ってしまった。



駅前からたわいもない話をしながら15分も歩けば私の家が近付いてきた。



「今日もありがとうね、送ってくれて。」


「毎日送らないと気が済まないから。結との時間の方が大事。」


「そ、そっか…」


あまりにもどストレートな言葉に私は頬を赤く染めた。


私の家の前に着くと、直は必ずと言っていいほど、キスをしてくる。



今日もちょっとかがんで、ちゅっと私に口付けると、"じゃあね"と言って行ってしまった。


「直には一生勝てる気がしない…」






テストが終わった私たちはもう学校に登校することなく、冬休みに入ったので、バイト漬けの毎日だった。



そのおかげでお金は順調に貯まりつつあった。



そんなある日。


「クリスマスプレゼント?」


「うん、そう。クリスマスプレゼントどうする?」


いつものように夜に杏樹ちゃんと電話しているとそう唐突に話を切り出された。


「クリスマスプレゼントどうするか、考えてなかった…。」


「嘘でしょ!?なんのためにバイトしてるの!こういう時にお金を使うのよ!」


「う…、はい。」


杏樹ちゃんに半ば説教される形になり、私は思わずベッドの上で正座をした。
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