通信制の恋
「なにをお探しですか?」


「あっ、えと、ネックレスを…」


「私はピアスを…」


「お相手は?」


「「か、彼氏です…」」


うんうんと唸りながらアクセサリーのディスプレイを見ていると、グッドタイミングな時に店員さんが声を掛けてくれた。


このままだったら、2人ともずっと唸ったまま、買えずにトボトボと帰る羽目になりそうだったからだ。



"彼氏"だと他の人に伝えるのがこんなにも恥ずかしいとは思わず、私もそうだが、杏樹ちゃんも頬を赤く染めた。



「彼氏様にですね。それでしたら、こちらはどうでしょうか?ペアのデザインになっていまして…」


「か、かっこいい…」


「ピアスもペアのってありますか?」


「はい。ございますよ。ご用意致しましょうか?」


「は、はい。お願いします。」


「分かりました。少々お待ち下さい。」


そういうと店員さんは店の奥に入って行った。



「ふー…、結の方はそのアクセサリーにするの?」


「うん。これがかっこいいかなって。」


お店の雰囲気に飲まれつつある杏樹ちゃんが一息吐くと私にそう尋ねてきた。


私はさっきからディスプレイから取り出されたペアのネックレスを凝視していた。

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