通信制の恋
「お待たせしました。こちらがペアのピアスになります。女性用はイヤリングに変更可能です。」


「すみません、わざわざ…」


そう言ってやってきた店員さんに杏樹ちゃんが申し訳なさそうに謝ると、店員さんは綺麗な笑顔で、"どうぞ、お構いなく"と言った。



「杏樹ちゃん、どう?」


「うん、これにする」


「他は見なくていいの?」


「他の見ても分からないもの。これが可愛いし、気に入った。」


「そっか。…じゃあ、おかいえいお願いします。」


「かしこまりました。」






そして、私はペアのネックレスを、杏樹ちゃんはペアのピアスとかイヤリングのセットを購入した。



「えへへ、これで喜んでくれるかな?」


「東雲くんなら喜んでくれると思うよ。私も直に喜んでもらえるといいなぁ…」


「ふふ、溺愛している結のプレゼントだもん、天野くんが断る訳ないじゃない。さ、天野くんのバイト先で待ってる太陽と合流しましょ。」


「で、溺愛…」


杏樹ちゃんの言葉にぽぽぽと顔に熱が集まるのを感じながら私は杏樹ちゃんに手を引かれながら歩いた。






カランカラン


「いらっしゃいませ。あ、結ちゃん。」


「こんにちは、まきさん。直、いますか?」


「いるよ。ちょうどバイトの時間を終えて今着替えてるとこだと思うからちょっと待っててね。」


「すいません、太陽も来ていませんか?」


「太陽…?ああ、東雲くんなら奥の席に…ほら、今本を読んでる。」


「あ、本当だ。ありがとうございます!」


そういうと杏樹ちゃんはトテトテとお店の奥の席に座る東雲くんの元へと向かった。
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