通信制の恋
カランカラン



そう特徴的なお店のベルの音を聞いてバッと顔を上げると直がお店から出てきた。


「直!話を聞いて!」


「…太陽にでも送ってもらったら?」


「…なんでそこで太陽くんが出るの?だから、あの時は杏樹ちゃんもいたんだって!」


「そんな嘘吐いて太陽を庇うつもり?」


「だから…、違う…ッ」


私の話を聞いてくれない直に私の視界は次第と潤んできた。


「泣けばいいと思ってるの?」


「ーッ!直のばか!話聞いてくれてもいいじゃんか!」


私は鞄からペアのネックレスの箱を取り出して直に押し付けると、直から逃げるようにその場から走り去った。








「(ダメだダメだダメだ!!!こんなことして彼女しっかくだ…)」



帰路に着く途中で歩みを止めた私はボロボロと涙が出て溢れ始めた。


「(このまま別れちゃうのかな?クリスマスに?大切な日にしたかったのに…)」


ボロボロと涙は止まることはなく、たまにすれ違う人もギョッとしていた。





すると、突然後ろから手首を掴まれてぐいっと後ろに引っ張られた。


ばふ、と顔が押しつけられたことで、ふわっと何度も嗅いだことのある、落ち着く香りがした。


胸に耳を当ててみると、走ってきたのか鼓動がドクドクと早く打っているのが聞こえた。
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