通信制の恋
「ん……」


いつもより若干重たい瞼を上げるとその目の前には真っ白な世界が広がっていた



「(あれ…、私どうしたんだっけ…)」


自分がなぜこの状況に置かれているのか、整理しようとすると自分の右手が暖かいことに気が付いた。


「え……」



右を見るとそこには、すーすーと気持ちよさそうに寝息を立てて寝ている天野くんがいた。


「(え!?ど、どうして天野くんが!?なぜ!?こうなった!?)」


あまりに突然なことで混乱して身動きを取ってしまった。


すると、


「ん…」


「(お、起こしてしまった!!)」


「あ…、起きた?」


「は、はい…」


「自分に何が起きたか、覚えてる?」


「えっ…と…、確かバレーをやってて…、ボールを取りに行ったら、杏樹ちゃんに危ないって言われたら、頭に強い衝撃が…」


頭の中を必死に整理して先ほどあったことを口にした。


「うん、そう。それで君は倒れたの。」


「倒れたんですか!?ここまで運んでくれたのは先生ですか?」


「いや、俺。」


「へっ?」


「だから、俺。」


「えっ、え、そ、その重かったですよね!ごめんなさい!!でも、なんで天野くんが…」


「重くないし。男舐めないで。てか、名前…」


「ああっ!ごめんなさい!その、名前は入学式の時、黒板に書いてあったの見て、それで…、あの、気持ち悪いですよね!ごめんなさい!」


「分かったから、そんな頭上下に揺さぶんないで。頭にボール当たったんだから。」



てっきり保健室まで運んでくれたのが先生だと思っていたから、なぜ保健室で私の眠っている側で天野くんが寝ているのかと思えば、なんと、天野くんに運ばれていたと聞き、私はボンッと顔が赤くなった気がした。
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