通信制の恋
名前を一方的に知っていたことを天野くんに知られてしまい、私はまたヘドバン並みに頭を上下して謝った。


が、天野くんは冷静でその冷静さが私を落ち着かせた。


「まぁ、俺も人のこと言えないけど。」


「え?」


「君の名前、"黒沢結"でしょ」


「そうですが…、ど、どうして私の名前を…」


「出席簿」


「あっ、授業の前のやつ…!」


「そ。」


まさかあの天野くんが私の名前を知っているとは思ってもみなくて、ドキドキと心臓が脈打つのを感じた。


「あ、そうだ。君が起きたこと先生に知らせないと。」


「あっ…」


ベッドの横にいた天野くんが立ち上がると私は無意識のうちに天野くんのTシャツを引っ張っていた。


「…………」


「あっ、その、ごめんなさい!先生に私が起きたこと伝えないといけないんですよね、い、行ってきてください!」



「あのさ、そういう可愛いことされると離れ難くなっちゃうじゃん」


「えっ」


私が彼の言葉の処理に時間を費やしていると、


彼の手が私の頭をぽんぽんと2回撫でた。


「直ぐ戻ってくるから。」


そう言って、天野くんは保健室を出て行った。


私はぷしゅー!と顔を真っ赤にさせて、ベッドの上で悶えていた。


その頃、保健室の外で天野くんも悶えていたとも知らずに。
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