通信制の恋
2限目は英語。


先生が黒板に書いていく解説を板書しながら、ルーズリーフにお絵描きをしていると…。


カサッ


「(あ、まただ…)」


またもや左側の席からノートの端切れが飛んできた。


そこには…


「好きなものとか教えて」


と書かれていた。



「(天野くんが私に興味を示してる…?)」


自惚れかもしれないが、そう感じた私はその返事をする為にシャーペンをカチカチと鳴らした。






それからというもの、天野くんは入学してから毎度眠っていたのに、私とメモの交換を始めてから、起きている時間が格段に増えた。


その事には杏樹ちゃんも気付いており、「何があったの!?」と聞かれれば、私は素直に答えた。


「メモの交換!?何それ原始的!」


「原始的は言い過ぎだよ、杏樹ちゃん…。スマホがある世の中でちょっと古い感じもするけど…」


「でもそういうのもきゅんとするなぁ…」


「だよね!天野くんってね、意外に字が上手なの!」


「へぇ、結、天野くんの字、好きなんだね?」


「す…!?う、うん、字が好き!」


午前の授業が終わると、天野くんはいつのまにかいなくなっており、メモも全て天野くんが持って行ってしまった。


「(天野くんの字、もっと見てみたいな…)」



そう思う私は強情なのか、時々私からノートの切れ端に質問とかを書いて天野くんに送ったりしていた。


天野くんはそれを待っているような時もあり、眠っている時間はほぼ無くなった。


その代わり窓の外をぼーっと眺めており、先生に言わせれば眠らなくなったのは嬉しいが、ちゃんと話しを聞いて欲しいと涙ながらに訴えかけられた。


訴えかけられたのは、最近天野くんの席の近くに私がいるからで、先生も私たちがメモのやり取りをしてることに気付いているのかもしれなかった。
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