通信制の恋
そんなことをしていると、私が乗る電車がホームへとやってくるというアナウンスが入った。


すると直が私の手を振りほどいた。


「(あ…、手…)」



離れたことに少しばかりのショックを受けていると、直がスマホを触りだした。


「結、スマホ貸して。」


「え…」


言われた通りにスマホを取り出すと、直は素早く画面をタップして何かを操作した。


「はい、これ、俺の連絡先。何かあっても無くても、連絡していいから。あと、LINEも入ってるから」


「えっ…え?」


素早く操作をしたかと思えば、ぽいっと私の方へスマホを投げ返した直に私は驚きの声を上げるしかなかった。


スマホを落とさぬように受け取ると、私は画面を確認した。


するとそこには、"天野直"と連絡先の欄の一番最初に名前が追加されていた。


「俺も結の連絡先入れたから。早速今日の夜、電話する。あと、家に帰ったら、着いたって連絡して」


「う、うん!」


「ん、宜しい」


そうこうしていると、私が帰る電車がホームへとやってきた。


「じゃあね、結」


「えっと…、またね、直」


プシューと閉まるドアを前に私たちはお互い手を振って別れた。


ドアからほど近い席に座るとドッと羞恥心が襲ってきた。


「(あの天野くん…、いや、直と連絡先交換しちゃった…!)」


ぽぽぽと顔が赤くなるのを感じて、リュックに顔を埋めた。
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