通信制の恋
電話口でとんでもないことを口走ってしまった私は、火曜日に向けて洋服を選んだり、部屋の片付けを行った。



ー火曜日、当日



歩いて20分ほどの最寄駅まで直を迎えに行くと、既に電車で来たのであろう、直が駅前の広場で佇んでいた。


その周りには女の子たちがキャッキャとはしゃいでいて中には「声掛けなよ〜」と言っている子達もいた。


「(凄い…、直のモテっぷり…)」


学校で会っているときはさほど気にしてなかったが、直はイケメンなのだ。


街中に出れば女の子がざわつくほどの。


私はどうやって彼に声をかけようか迷って、とりあえずLINEを…と思ってスマホを見ようとしたら、直がこちらに気付いたようだった。


こちらに近付いてる=私の目の前にいる女の子に向かっている、という構図が出来てしまっているため、目の前の女の子たちのざわつきはヒートアップした。


「やだ、こっち向かってるよ!!」


「声掛けられるんじゃない!?」



という言葉が聞こえて来たが、そのどれもが違うことに胸を痛めていると、ふと私の前に影ができた。


顔を上げるとそこには私服姿も決まっている直が立っていた。


「おはよ、結」


「お、おはよう、直」



直は黒のダメージジーンズに少しダボダボの白いTシャツを合わせたラフな格好だった。


目の前を通り過ぎていった直の目当てが私だと分かった瞬間の女の子たちの目つきと言ったら、そりゃもう般若のようだった。


「(こ、怖い…。女の子があんな顔しちゃいけないよ…あ、させたのは私か…ごめんなさい)」


心の中で謝ると直が早速私の手を握って歩き出した。

< 36 / 167 >

この作品をシェア

pagetop