通信制の恋
飲み物を持って私の部屋に行くと、直を迎えに行く前に綺麗にした部屋をキョロキョロと見渡している直がいた。


「な、何してるの?」


「…いや、結の部屋だな〜って」


「何も面白いものなんてないよ…?」


「…可愛い部屋だと思う」


「あ、ありがとう…」


テーブルにお茶を置くと、私は早速レポートや教科書をテーブルに並べた。



「直はレポートの進捗ってどんな感じなの?」


「一応きちんと締め切りまでには出してる」


「え…、意外…」


「意外ってなんだよ…」



私は思ったことをそのまま口に出してしまい、慌てて口元を手で覆った。


「だ、だって、授業中はずっと寝てるから…」


「あれって出ればいいだけだろ?別に起きて聞くほどのものじゃないよ」


「天才だ…」


またぽろっと口から出た言葉に私は反省はしないのかと自分を責めた。


「天才じゃないから。んで、今日はどこが分かんないの」


「えっ、お、教えてくれるの?」


「そのための勉強会じゃないの?」


「私はてっきり直がレポートの提出期限ギリギリ人なのかと思って…」


「俺は結が分からないとこがあるのかと…」



「「………」」


2人で黙ると、ふふっと私が吹き出してしまった。


「2人で勘違いしてたんだね」


「まぁ、俺は結と会える口実が出来たからいいんだけど」


「へ…?」


「何でもない。こっちの話」



直が何故か私のことを口に出していたが、そのことについては深く言及しないこととなった。

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