通信制の恋
その日の夜、私は直との電話よりも先に杏樹ちゃんに報告しようと思って電話をかけた。


『はい、もしもーし』


「あ、杏樹ちゃん、今時間空いてる？」


『うん、空いてるよ。どしたの？』


「あの…それが…私、直と両想いに、なりまして…その、付き合うことになりました…」


私は電話口だというのに、夕方のことを思い出して、顔が熱くなるのを感じながら、杏樹ちゃんに告白した。


中々返事がない杏樹ちゃんに私は不安がこみ上げてきた。


「あの、杏樹ちゃん…？」


『や…』


「や？」


『やったじゃん、結！！！！やっと両思いになれたんだね！！！おめでとう！！！』



「えへへ…、ありがとう、杏樹ちゃん。実は今日、テスト前の勉強会を直と開いて…私の家に直を呼んだの。」


『ちょっと待って、情報量が多い』


「え？」


『まず、勉強会に誘ったのはどっち？』


「えっと、その、私です…」


電話口からでも伝わる杏樹ちゃんの真剣さに私も思わず背筋がピーンとしてしまう。



『結から誘って、結の家で勉強会開いたのね？』


「は、はい…」


『…す、凄いじゃない！結！！！どうしたの、積極的になっちゃって！』


「私も自分から誘っちゃったの、随分大胆なことしちゃったなって後から思ったよ…」


『今までの結だったら、そんなことしなかったじゃない！どうしたの？』


「白鷺さんとのことがあったからかな…」


『あー、それでか』


杏樹ちゃんも私の答えに納得しているようだった。
< 42 / 167 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop