通信制の恋
『そうか、良かったな。』


「うん。杏樹ちゃんがいなかったら、こんなに直と仲良くなれなかったと思う」


『栗田には感謝しないとな。』


「うん!」



それから私は直と何でもない日常会話をして電話を切った。



電話を切った後、私の心の中は幸福感で満たされていた。


「(こんなに幸せでいいのかな…)」


そう思って不思議ではないほど、私は幸せ者だと感じた。


好きな人ができて、恋をして、付き合うことになって…


恋ってこんな順風満帆だったっけ?と初恋の時などを思い出していた。


そうしていたら、いつのまにか朝になっていた。






それから数日後


花城高校通信制の前期試験の日がやってきた。


科目ごとに教室が分かれており、私と杏樹ちゃん、直はほぼ同じ教科を履修しているため、教室は一緒だった。


席はいつも通り窓側の一番後ろの席を陣取る直の横に私。そして、杏樹ちゃんが私の前に座っていた。






テストは順調に進み、お昼休憩となった。


「あ〜、お腹空いた!結!一緒に食べよ!」


「うん!」


「結、俺とは?」


杏樹ちゃんに誘われ、早速お弁当箱を開けようとした時、隣にいた直が寂しそうにこちらを見ていた。


さながら大型犬のようで尻尾があれば垂れ下がっているような、そんな表情だった。



「(うっ…)」


あまりの可愛さに私は折れそうになったが、そこで別のところから声がした。


「直は、女子の邪魔すんなよ。俺らは俺らで食うの」


そう言ったのは直の前の席に座っていた、確か名前は…


「太陽。邪魔すんな。」


「彼女が大事なのも分かるが、あんまり女子の友情に嫉妬すんなよ」


そうか、直は私と杏樹ちゃんの関係に嫉妬していたのか。


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