通信制の恋
9時半の集合で先生方もやってきた。


そして、直目当ての人だかりを掻き分け水族館の入り口に立つと、声を張り上げた。


「これより花城高校通信制の水族館見学に入ります!学校の関係者以外の方は少し退いていただけないでしょうか!!」


「おぉー、先生結構バッサリ行くねぇ…」


「あ、直たちの周りの人が下がってく…」


やっと見えた直の姿に私は安堵した。


揉みくちゃにされたであろう、髪の毛を整えている直私はちょっとおかしくなってクスクスと笑ってしまった。


「それでは、中に入ります!!中で点呼を取るのでクラスごとに並んでください!」


学年主任の先生の声で私たちはやっと水族館の中へと入ることができた。


中に入ってすぐの場所はチケット売り場となっており、その先にはエントランスがあって、少し広くなっていた。


そこにクラスの担任の先生が立ち、クラスごとに並ぶように誘導していた。


私たちは1-Bなのでその担任の先生の前に並んだ。

その後ろに直や東雲くんが並んだ。




点呼を取り終えると早速水族館の中へと進み始めた。


まずは通常のお客さんと同じルートで水族館内を回り、そのあと、貴重なバックヤードへの案内された。


「すごいねー、水族館の中ってこんな風になってるんだー!」


「すごいね!魚の匂いがぷんぷんする!」


「そりゃ、水族館なら魚の匂いがして当たり前でしょ」


「う…」


的確な直のつっこみに私は黙り込んでしまった。


バックヤードでは、魚の食事や水槽の管理のことなどについて説明があった。


この行事でも、レポートを出す必要があるため、真剣に飼育員さんの話に耳を傾けていた。


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