通信制の恋
バックヤード見学が終わると今度は自由行動となった。


「結、ペンギンのとこ見に行こ!」


「うん!」


「待って。」


私は杏樹ちゃんに誘われて後をついて行こうとした瞬間、後ろから手首を掴まれて、前に進む力を止められてしまった。


「な、何、直…」


「10時45分、イルカショーのステージ前に集合ね」


「へ?」


「じゃ。」


それだけ言うと直は私の手首から手を離し東雲くんと水族館の中を歩いて行った。


「ねぇ、杏樹ちゃん。」


「ん?何?」


「10時45分って何がある?」


「んーと…、あ!イルカショーがあるよ!何々〜、天野くんが誘ってくれたの〜?」


「う、うん…。10時45分にイルカショーのステージ前に集合って…」


「2人で見てきなよ!私はずっとペンギン見てるからさ!」


「杏樹ちゃん、ペンギンだけ見ててもレポート埋まらないよ…」



はりきりながらペンギンのいるところまで杏樹ちゃんはワクワク感をしまいきれず、溢れ出ていた。


直が言っていた10時45分になるまで、私と杏樹ちゃんはまず、レポートの課題を片付けることにした。


レポートの課題は穴埋め問題と気になった魚の観察など、だった。


杏樹ちゃんはペンギンのことを書きたかったらしいけど、先生に確認したところ、ダメだと言われたらしい。

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