通信制の恋
エントランスに着くと、そこには既に人が集まっており、私たちが着くとすぐさま点呼が行われた。


全員いることを確認すると、今回の総合学習は終了となった。


現地解散だったため、私たちはそのままエントランスに残った。


「どうする?まだ見足りない?」


「ん〜、私もペンギン見たいかな…」


「じゃあ、一緒にもう一度ペンギンコーナーに行きましょ!」


私がペンギンコーナーに行きたいというと、杏樹ちゃんは目を輝かせて手を引っ張った。


杏樹ちゃんは自由行動のほとんどをペンギンコーナーで費やしてたのに、まだ見足りないのだろうか?


私たちの後ろを直と東雲くんがゆっくりと追いかけてきてくれていた。


ペンギンコーナーに着くと、愛らしいペンギンたちが私たちを出迎えてくれた。


「はぁ〜、可愛い〜」


「確かに可愛いね!」


「でしょでしょ!?」


ペンギンの可愛さに同調すると、杏樹ちゃんがグイグイと来た。


そこで私は先ほど買った、ペンギンのキーホルダーを杏樹ちゃんにあげた。



「えぇ〜!可愛い!なにこれ、いいの!?」


「うん!お土産屋さんで見たとき、杏樹ちゃんに似合うんじゃないかなって思って!」


「ありがと〜、結〜」


ガバッと抱き着いてくる杏樹ちゃんを抱き締め返して、背中をポンポンと叩いてあげると、なんだか、視線を感じた。


ゆっくりと振り向くと、そこには不機嫌そうにこちらを見ている直がいた。


隣にいる東雲くんはもはやツッコミ疲れたのか、何も言ってこなかった。
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