通信制の恋
お昼を食べ終わった後、水族館を後にした私達は駅へ向かった。


「結、送るよ。」


「え、まだそんなに暗くないし、大丈夫だよ。」


「暗くなくても1人で帰すのが心配なの。」


そう言って手を繋いで私の帰る電車に乗り込んだ直。

私は振り返って杏樹ちゃんと東雲くんに手を振った。


「またね、杏樹ちゃん!」


「また後期にね〜」


そう言って私達は別れた。



直はやっぱりというべきか、駅についても私の絵を離さず、私の家の方向へと歩き始めた。


私の歩幅に合わせて歩いてくれる直に私はきゅんとしながらも口を開いた。


「ねぇ、直。どうして直は私のこと好きになったの?」


「どうしたの、急に。何か不安に思うことでもあった?」


コテンと首を傾げて顔を覗き込んでくる直に私は思わず照れて顔を背けてしまった。


が、直はそれを許さず、歩みを止めると私の両頬を両手で包み込み、直の方へとゆっくりと向かさせた。



「何か不安なことあるなら、言って。俺、結に言われたことなら善処するから。」


「う…、あの…、今日水族館に行った時に女の子に囲まれてる直たちを見て嫉妬した…。女の子に逆ナンされてるの嫌だ…」


「そっか、ごめん。俺ももっとはっきり言えばよかったね。今度からは話しかけられたら冷たく接するから。」


「ごめん、私、わがまま言って…」


「わがままじゃないよ。そういうのは独占欲っていうんだよ。結が独占欲出してきてくれて、俺、嬉しい」


そういうと直は、ふわりと笑った。

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